2009年8月23日日曜日

新公会堂 お能に出会う♪  -鞍馬天狗 -

 
「最近 お能に興味を持ち始めた貴女にいい情報を」と…
知り合いから連絡が入りました。

新公会堂にて 子供達の発表会のあと 金春流による「鞍馬天狗」の後半があるとのこと。
   10時からだよ~~!!行っておいで!
時計を見ると9時^^! これも何かのご縁かしら? と…
慌てて出かけることに決定☆

 

新公会堂は 大仏殿が こんなに見えるところにあります。
朝の爽やかな空気の春日野を歩いていきますと
満開の百日紅が 出迎えてくれました…




坂道を登っていきますと…
東大寺や若草山の景色と見事に調和した 新公会堂が現れます…
 
 

新公会堂には 立派な能楽ホールがあります。
大きな木の扉を開けると 外界とは全く異なる世界が眼前に広がり 吸い込まれるように座席に座りました。 

子供さんの発表がすべて終了したあと 先生方から「お能」に使用される楽器の簡単な説明がありました。
初心者のあたしには とても楽しいひととき^^
なるほど なるほど…と 子供達より目を輝かせていたかもしれません。

◆楽器説明の簡単なおさらい…
お能では文楽とかと違って弦楽器は使用されないそうです。
笛・小鼓・大鼓・太鼓 この4種類で 構成されます。
太鼓が加わらないものを「大小物」、加わるものは「太鼓物」と区別します。

①笛
    

お能で唯一メロディー担当楽器
音階も独特のものでした。
長唄の篠笛や雅楽の龍笛と構造も違うらしいです。
それは「ヒシギ」と呼ばれる最高音を出すために 歌口と指穴の間の管内に細い竹を1本はめ込んであることです。
この「ヒシギ」とは 大変大事な「音」の効果をもっています。
能舞台は 観客と舞台をわける「幕」がありませんので この「ヒジキ」の高音によって 観客は日常の次元から切り離され 幽玄の能の世界に誘導されていくそうです。
これからお能を拝見するときは「ヒジキ」の高音に 心がワクワクすることと思います。
また 今日の「笛」は300年前の笛で 煤竹から作られてます。
司会の方が こんなことを仰いました…
「この笛は300年前のものです。私たちは今日 300年前と同じ音色を聞くことができるんです。それが能の素晴らしさの一つなんですね。」
 
② 小鼓
     
 
小さい鼓です。二枚の馬の革が張られていて、漆などで装飾が施されています。
この二枚の革を麻紐の「調緒(しらべお)」が掛けられています。
打ち方は左手で調緒を握り締めたり緩めたり、打つ場所を真ん中や端にすることで音色の高低を変えます。
普通「強弱」を変えると思うのですが 小鼓は音の高低も見事に変えれる楽器です。
また その演奏をするためには「湿度」が必要な楽器で、たえず息をかけたりして湿度を保つ必要があるそうです。
 
③ 大鼓
     
 
やはり馬の革が張られてますが 小つづみより少し大きめです。
革に装飾は施されていません。
小鼓とは真逆で「湿度」を嫌います。演奏前に1~2時間は炭火にかざして感想させるそうです。そして調緒は力いっぱい締め上げてますので「カーン」という独特の音が冴え渡ります。

④ 太鼓
     
 
構造は鼓と同じ。しかし牛の皮が使われています。そして中央のバチが当たるところには「バチ革」という鹿革が貼られてます。
太鼓が入るものとそうでないものがあるそうです。
太鼓が入る場面とは 神様や亡霊など人間でないものが出てくる場面や そのお話のクライマックスの場面になります。
 
以上のような説明をうけて いよいよ「鞍馬天狗」の後半部分 20分ほどのお能鑑賞になりました。

 大天狗…金春穂高さん
 牛若丸…穂高さんのご子息 ひかりさん
 
■あらすじ
鞍馬山の東谷の僧が平家の稚児と源義朝の遺児である牛若丸を連れて従僧を伴い花見に出かける。ところが見知らぬ山伏が現れ、一行は興をそがれ花見を中断して帰っていくが、牛若丸がただ1人残り、山伏に声をかけ一緒に花の名所を見て歩く。山伏は牛若丸の境遇に同情し、自分は大天狗であるとあかし、平家討伐のために兵法を伝授すると再会を約束して立ち去る。牛若丸が薙刀を持ち身支度を整え待っていると大天狗が各地の名だたる天狗を率いて現れ、漢の張良の故事を語り、牛若丸に兵法の秘伝を教えて将来の武運を守護することを約束し、再び飛び去っていく。
 
このような物語の後半部分を見せていただきました。
 
まずは 囃子方などが 舞台に勢ぞろい スタンバイ
観客席も 静まります。
 
 
可愛い牛若丸^^
 
 
 
薙刀を用意し待ち構える牛若丸のところに 大天狗が現れるシーン
 
 
 
勇壮な大天狗は 迫力があります。
 
 
   
 
牛若丸に兵法を教える大天狗…
 
  
    
     
 
天狗物の中でも 鞍馬の大天狗は牛若丸を庇護する善意に満ちた天狗なのです。
牛若丸の身の上を案じ 兵法を教えるこの場面は 囃し方の演奏と天狗の舞が一体となって素晴らしいものでした。
 
それぞれの楽器の織り成す音の世界と舞いとが 作り出す世界であることを実感させていただきました。
 
これは・・・ますます興味ある世界の入り口に誘われた思いです。
いつか 日記で書きました「花がたみ」を能舞台で見れる日が来るといいなぁ~と また一つ「夢」を作ったひとときとなりました。