2008年9月27日土曜日

萩の季節 「国宝仏像 移動中」 薬師如来立像さま編



萩の季節も盛りが過ぎましたが 萩の香りが濃く 戒壇前 西室跡を歩くと
その濃厚さに 驚いてしまいました。


  

本坊前~御影堂への道は 萩の國に迷い込んだかのような錯覚に陥ります
季節で これだけ表情を変える境内に ますます魅力を感じてしまいます

 

【左)金堂屋根と萩 (右)東室・礼室の間の馬道の額縁の世界】  
講堂から見た 馬道(めどう)の景色は 大好きなモザイクの一つ

こんな秋のある日 9月25日 朝9時前に 唐招提寺着 
金堂右側の扉が開いていて もう後背は設置されていました。

薬師如来さまを お迎えする準備が整い 空気もいつもより ピーンとしていて 特別の朝のような気配が すべての人々から漂ってきています。





 AM9:11の奈良交通バス「六条山行き」が唐招提寺前を通り過ぎると いよいよ 千手観音さま・盧舎那仏さまに続き 三体目の薬師如来立象さまが 解体修理場を出て表通りに お姿を現わされました。
朝から 雲行きが怪しく万が一の雨のため ビニールで覆われておられました。

三体目・最後の運び込みということで マスコミがとても多く びっくりしました。


立像のため 千手観音さまの時と同じく 荷台では「寝ながら」運ばれておられました^^

       
南大門前で 待ちにまったショット!手の様子とか ちょっとわかるかな?

 
【この看板が!】 

「国宝仏像 移動中」のこの看板は カメラマンの人気者でした^^
なんだか 「ふふふっ」って笑っちゃったです
 
   いよいよ境内に現る⇒

南大門前を通過した薬師如来さまは 東側の駐車場から境内に入り ゆ~っくりと金堂に向かいます

 
金堂前に到着~♪ 報道関係者 走る走る!

そしていよいよ盧舎那仏さまの時と同じく クレーンで空中浮遊!

ゆっくり ゆっくりと あがっていきます。 掛け声が飛び交い 細心の注意を払いながら 金堂前の車をつけた台の上に降ろされました。
 

そっと慎重に降ろされた薬師如来さまは ごろごろごろ♪と寝たまま金堂内部へ…
 
 
どうして立てるのかなと見てましたら
金堂内から「ジャラジャラジャラジャラ~♪」とチェーンを回すような音が響いてきます。
とととと!だんだん 薬師如来さまの頭が 持ち上がってくるではありませんか!!!
すべて 手作業のようです! 掛け声と チェーンの音が 聞こえたり止まったり…








いよいよ頭が起きて 台座に差し込む作業に入る。これがなかなか難しそうです。薬師如来さまを一旦吊るして まわりの人たちで固定しながら…
 
 
差し込む部分の白い布が取られて 慎重に慎重に台座にあわせて下ろしていくのですが 少しでもズレると大変!
声かけあって ゆっくりゆっくり・・・ 息を止めながら… 空気が張り詰めていました。
こうして しばらくして 見事に薬師如来さまが 納まりました。

  
 マスコミが沢山撮影に来ています。彼等の姿をちょっと シャッター!^^
 撮影があったので 千手観音さま・盧舎那仏さまの扉も ほらっ 開いているではないですか!
 
  
 カメラのバッテリーが無くなり ラスト1枚 撮れますようにと願いを込めて~撮りました 斜めッテルのは御免なさい!
 千手観音さまの御手はまだ 白い布に覆われておられます。これから一年かけて組み立てられていくのでしょうね。
 盧舎那仏さまは 白いミイラ状態から一転し この日は懐かしいお顔を見せてくださってました。
 帰り間際に 拝観料のところのおじさんに「千手観音さまも 見えてて嬉しかったの」ってお話しますと 「ええ!見えましたか?」と言いながら おじさんが金堂のほうに飛び出していきました^^
 
 次の日の奈良新聞の記事より…一部素敵な文章発見♪
 ……金堂内では 千手観音と盧舎那仏が じっとこの作業を見守っていました。…… 
 
 ほんと そういう感じだったのですよ~♪

2008年9月24日水曜日

匠の技が輝く 平城宮跡

平城宮跡の第一次大極殿正殿復元整備特別公開 
     (第7回・最終回) 9月21・22・23日
いつも車で横を通ってた あの工事中の建物の中に入る 最終回ということで いってきました!


第一次大極殿正殿とは 京都の恭仁京に一旦移される前の建物で 即位の大礼や国家的儀式が行われた建物で 南の朱雀門の真北に位置します 
発掘調査しても 礎石など出土品が極めて少なく おそらく恭仁京にすべて移築されたのではと考えられてるそうです

   
 
飛び石連休の真ん中を狙ったのですが やはり 凄い人でした。
いつもウォーキングのときに横目で眺めていた建物を間近にみて その大きさにびっくり☆


まわりの景色を ご紹介~


近くの萩が こんなに 可愛く 上品に 柔らかく咲いてました
そして 入江せんせぇが 愛した桜!
どうしたら あんな作品になるんだろうかと いつも眺めて佇んでしまいます
 
【一階内部天井】


 この天井の「蓮の繪」は 奈良在住の日本画家 上村淳之氏のデザインによるものだそうです。
上村淳之氏は 鳥の飼育でも有名な方で 自宅で貴重な鳥の飼育・繁殖をされてます。
以前NHKの特集で氏の鳥に対する専門的な飼育のドキュメントを拝見しましたが、左脳優先の飼育・繁殖の世界にいながら氏の描かれる画風からにじみ出る雰囲気は「鳥」を描くのではなく「鳥のまわりの空気」を描いておられるのだと思ったことがあります。その氏がこの蓮をデザインされたんだ…と しみじみと眺めてまいりました。

 【伝統土壁】この状態からあと8回塗って 最後に漆喰塗りで仕上げるそうです(ため息
縄は 日本家屋の壁が竹で編んで土を塗る あの 竹に当たるものらしい・・・です。

【初重の屋根】

【二重の屋根】 
初重・二重の屋根には合わせて約10万枚の瓦が葺き上げられているそうです。屋根の加荷重軽減を図るため平瓦下に葺土を用いず木製の桟を敷きこむ「空葺き」の方法が用いられています。
 
地上から19.6メートルの足場で間近に見る瓦は 壮観でありまた 美しくため息出るばかりです。

 
                【二重屋根中央に飾られた「宝珠」の飾り】

【足場も見事】
 
             【風鐸・垂木飾金具】
【瓦作り実演コーナー】
この 唐招提寺金堂の復元瓦なども展示されており 手に触れさせてもらいました。
「唐招提寺の金堂を先日拝見したのですが 見事に復元再建されていて 平成の甍が綺麗でしたわ~」
「そうですか!ご覧になったのですか? あれはイロイロと注文があって大変難しい仕事でした・・・」
あ~いろんなご苦労があったんだろうな~と ちょっと垣間見たような氣がしました。