奈良阪町 般若寺から北にまっすぐ歩くこと10分ぐらいでしょうか
奈良豆比古(ならずひこ)神社が左手に見えてきます。
10月8日には 19:00から有名な「翁舞」が奉納されるので 多くの人が全国から来られるそうです。
今日は この神社の境内にあるという 1000年…1300年とも言われる樟の巨木に一目会いたくて来ました。
手水社で まず清めて 心をきちんと落ち着けて 本殿にご挨拶に向かいました。
2礼2拍手1礼… 誰もいない境内に 拍手の音が反響します。
さて 「樟木あちら⇒」の小さな看板に従って お社の裏のほうへと進んでいきます。
まるで不思議の世界への小径のような錯覚に囚われ始めたそのとき
目の前に小さな谷?が パッと現れ あたしはその谷の上にいました。
そして その谷の中ほどに 悠然と樟の巨木が息づいてました。
【最初に会った瞬間】
緑の世界に 木漏れ日が差し込み キラキラとあちこちで光る…
枯葉が何層にも土を覆い 上を見上げると緑の天井…
そして 何羽の鳥たちが さえずっているのだろうかと思うほど…
そんな小さな谷間に 1000年…いや1300年とも言われる巨木が息づいていました。
そのときの あたしの状況とは…
足がその場で止まったまま 一歩たりと進めません。全身の毛が逆立ってアンテナになったような錯覚。
巨木から出ている何かに 畏敬の念=恐怖 そう…恐ろしくて。。とても怖かったのです。
その恐怖とは…
近づいていいのだろうか? 巨木に拒否されるかもしれない。もし拒否されたら…
拒否されるなんて思うこと自体 どこからそんな感情が押し寄せてきたのかもわかりません。
一歩一歩 近づくたびに 「傍に行ってもいい?」と巨木を見つめ 心で話しかけ
あと5メートル...4メートル...3メートル.......と歩を進めていきました。
立ち入っていいのだろうか… 今 あたしを見つめているこの巨木は何を思ってるんだろうか?
ついに 巨木との距離が もう手が触れれるところに…
その幹は 美しい苔に覆われ まるでビロードのようです。
見上げると 木漏れ日と小鳥たちの声が 巨木を慕うように 降り注いでました。
あれほど 怖く感じた思いは いつのまにか静まり
その懐に もぐりこんだかのような不思議な感じ…
そっと幹を左手で触れてみました
とても やさしくて あたたかいものでした… これは何だろう ?
答えなんか 見つかるはずないですよね^^
緑の天井と降り注ぐ木漏れ日
そして 頬をそっと幹に くっつけてみました。
そのまま 目を閉じ 深呼吸を ふかぁ~く しずかに 何回もしていました。
おそらく 心は空っぽだったと思います。
薄暗い森の中なのに まぶたを閉じると キラキラと光が舞うような そんな景色を見ていました。
どのくらいの時が流れたのかしら… おそらくほんの僅かな時間だったのかしら
枯葉を踏む音が カサッコソと聞こえ ふと谷の上のほうを見ますと
次のお客様が 樟の巨木に会いに来られたようです。
あたしは その方に この場所をお譲りするため 現実の世界に戻ることにしました。
大きな時の流れと そこに生き続けている生命と それに触れることが出来た小さなあたしが ほんの一瞬 同じ空間に存在できたことへの 深い感謝が心の中いっぱいに広がりました。
たぶん ときどき この樟の巨木に会いに行くことになるだろうなと思っています。
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