2008年10月30日木曜日

遣唐使の無事を祈る♪


      「秘仏公開・十一面観世音菩薩立像」      海龍王寺
 
平城宮跡の東に 気をつけないと 見過ごしてしまうような小さな山門があります。
高校生の時に「夏休みのレポート」で 訪れたことを懐かしく思い出しながら
「秘仏十一面観世音菩薩立像(鎌倉・重文)」の公開を楽しみに門をくぐりました。
このお寺は 初代住持の玄昉が中国から戻るときに嵐に遭い 持ち帰った経典の中の「海龍王経」を一心に唱え 九死に一生を得て無事帰国できたことから 遣唐使の渡海安全の祈願を営んだそうです。
へぇぇ~ 遣唐使の安全の祈願!
今更ながらに 奈良という地でこそ出会える歴史のワンシーンだなあと しみじみと感じました。

  
  【山門 室町時代】             【中門】

海龍王寺の山門を一歩入ると中門までの参道は 築地塀に囲まれた不思議空間

               【築地塀】
 

 【本堂】
 江戸時代の建物だそうですが 非常に美しいスタイル~
  
 この廊下の板が とても暖かい雰囲気だったのです
 幼い頃 祖父のお寺の廊下を 毎朝「拭き掃除」していた日課が よみがえりました^^

   



【不退寺・聖観世音菩薩立像 法華寺・十一面観世音菩薩立像・海龍王寺・十一面観世音菩薩立像】
本堂の中に入りますと 中央正面に ありましたありました!
像高94㎝ですから そんなに大きなものではありません
訪れる前に 海龍王寺HPを読んで 「切り金」の衣装を楽しみにしてたのですが
上品で 華やかで それは見事なものです


  
【本堂の屋根に目をやれば…】

【西金堂と 国宝 五重小塔】
何気に 小さくて その姿を見ているだけでは 何故に国宝なのか解からないかもしれないのですが
この塔こそ 現存するたった一基の天平時代の「五重の塔」なのです!
以下 海龍王寺HPより引用…
海龍王寺は飛鳥時代から建っていた寺院をもとに創建されたので、限られた敷地の中に大寺院の伽藍の形式を持ち込まなければならないという困難な状況にありました。この事情の中で「東西両塔」を備えた伽藍の形式を持ち込むべく五重小塔を造立し、東金堂(明治初年に喪失)と西金堂の両金堂の中にそれぞれ納めたのではないかと考えられています。
なるほど~ 小塔の意味は そういうことだったのかぁ~と マジマジと眺めるのでした。
少し古い話ですけど 一時 奈良国立博物館に この小塔は保管されていたこともあります。
先日 訪れた 般若寺も それから奈良豆比古神社も・・・ やはり奈良国立博物館のほうで 丁寧に保管されているものがあるようなお話を聞きました
なかなか一寺院・神社で 古きものを保存・保管することは難しいものなのでしょうね
 
 
 【築地塀に見つけた秋】

2008年10月29日水曜日

秋を捜して♪

                          唐招提寺

  
  【金堂鴟尾にひとやすみ 絶景かな?】
 

唐招提寺は いつ来ても 大きな懐に抱かれるような気がします。
歩きなれた境内なのに 何かに出会えないかな~と 彷徨います。
まずは南大門から入って 金堂に目が…
今日は 扉が 開いてるかな~ お顔が見れるかな~ これが楽しいですねw

■今日の金堂の様子記録■
 御扉は 全部開いていました。
 千手観音さま(左)の周りのライティングが作業中の証しかしら
 御手に白い布が巻かれている様子がわかりました

          
  

  
            戒壇前の紅葉
  
        御影堂の山門より秋かけら 旧開山堂近くより講堂と金堂の屋根
 

       
         鼓楼と禮堂に 金堂の幻影?
 
大好きな講堂の中で 弥勒菩薩さまの後背に見とれました。
東山魁夷先生が この後背を賞賛されていたのですが 今ひとつ実感出来ずに過ごしてたのです~
今日は お寺の方に じっくりとお話を聞きました
迦陵頻伽が そこにあるとは お話を聞くまで ほんと気づきませんでした><;
弥勒菩薩さま 両肩の真横 そして その下の「天女」と思っていたのは 「迦陵頻伽」だったのです!
じっと見つめますと 迦陵頻伽の鳥の美しい尾が後背の燃えるようなデザインと 交わっていくのです。
何回も通って やっと本日「迦陵頻伽」に逢うことが出来たということですね
ほかにも 色々珍しいお話を聞いたのですが また 追々に 書き加えていきたいなと思います
そして ふと金堂に目を移しますと 大きなシルエットを鼓楼に映し…
思わず 「鴟尾」の影は どこどこどこ!キョロキョロ!
そうこうしているうちに 雲が意地悪く 太陽を隠し^^
空を眺めながら 講堂の外に出て しばし 息の音のみ 聞こえる感じ…
そして しばらくすると ほら!(上の写真)
いいショットではないのですけど あたしにとっては「鴟尾の影 みっけ~♪」の瞬間でした

  土塀のツワブキ 今盛りなりけり…


  
   ツワブキの土塀に 秋ひとひら

宝蔵 校倉造りに迫る♪

                           唐招提寺

  
【宝蔵】国宝

唐招提寺にも 東大寺の正倉院のような校倉造りの「蔵」が2棟 仲良く並んであるんです
北の少し大きい方が「宝蔵」 南側が「経蔵」。経蔵は東大寺の正倉院よりも数十年古い建物だって。どちらも国宝!凄いですよね。
今回は「宝蔵」の一層内に入れるということで そりゃもう 楽しみに出かけました
先日「正倉院展」に出かけてますから この好奇心は 凄いものでした~!


【ポスター】          【今回の案内状】

入場料無料で 靴を脱いで そろそろとスロープを上がり 一層目の中へ…
中は 扉が開けられてますので 比較的明るいです。
正面真ん中にと左右壁に沿って硝子のケースが設置され 中に色々と納められてました。

 <展示宝物>
 1.木製黒漆塗蒔絵唐櫃
 2.脇机
 3.鑑真大和上御袈裟入蒔絵箱 
等等 5代将軍綱吉さまの御母堂 桂昌院さまが寄贈されたもので 葵の御紋の素晴らしいものでした。
一層目に 立ち目線をあげますと 二層目の棚が見渡せます。二層目の床は「コの字」になっていて普段は真ん中に階段が取り付けられているそうです。(今日は外されてました。)
二層目の棚には 色々なものが 整然と並んでいました。そして 右手上を眺めますと 三層目 屋根裏となっておりました。
屋根は 木が組まれ土が見えておりました。(現在 三層目には何も保管されていないそうです)
一層目の奥の壁は 校倉の校木の壁です。コーナーを覗きますと 組まれている校木の隙間が ちゃんと開いてて 外の光が 等間隔に洩れてきてました。 校木の幅は 私の右手の平の親指~小指の先より1cmほど広い感じ たぶん20~21cmくらいでしょうか。
建物に触れてはいけないので 目分量で測ってみました^^


    ひさし内側を写真で

 【ねずみ返し】
   

   

 校木は三角形を大面取した六角形の断面をしているでしょ!
 この隙間から 光が中に洩れていました。

【宝蔵 瓦色々】
  

瓦はすべて天平時代のものに倣って新造されたそうです。この鬼瓦は宝蔵の地下から発掘された珍しい形式のもので、類品は東室の下からも発見されているのだとか…
綺麗で繊細な鬼瓦ですよね~
  

宝蔵脇から 金堂(写真左)と講堂(写真右)の屋根を 東室越しに 臨む


  
  宝蔵の床下円柱の間から 秋こぼれる…


■国宝 経蔵
こちらは 東大寺正倉院よりも数十年古い蔵だそうです!

 




    【ねずみ返し 階段 鬼瓦】

2008年10月27日月曜日

第60回 正倉院展♪

                            奈良国立博物館・東大寺
今年も いよいよ25日から「正倉院展」が奈良国立博物館で始まりましたよ~
今回は「第60回」の記念として オータムレイトチケット(閉館1時間30分前から入場可能の当日券 少しお得な700円)の人には「正倉院特別展観(第一回正倉院展)」の復刻チケットを栞にしたものがプレゼントされるのです。
夕方からの外出となるのですが どうしてもこの「栞」が欲しくっていってきました~!

     
奈良国立博物館(新館)の壁の看板も 夕闇にライトアップされて 趣きが増します
オータムレイトは月~木は16:30から入場可能(金・土・日・祝日は17:30より)なので 少し並んで時間待ち。
ちょうど沈む夕陽が旧館の屋根を照らし 新館前の松に降り注ぎ 前の氷室神社も夕闇に包まれ始める情景を のんびりと眺める時間をいただきました。
 
  
【写真上:正倉院特別展観復刻チケットの栞 写真下:オータムレイトチケット】
今回の「正倉院展図録」を読んで この「正倉院特別展観(第一回正倉院展)」の時代背景を初めて考えさせられました。
皇室のあり方が憲法で大きく変化する「時」の展覧会だったのですね。
そうえば 年配の方々は「御物」と仰いますもの…
「図録より」…正倉院特別展観(第一回正倉院展)について 抜粋
 入館者は、昭和21年10月19日(特別招待日)3175名、20日(進駐軍招待日)が450名、21日(一般公開初日)3330名…(略)
第一回正倉院展の会期中、11月3日に日本国憲法が公布された(施行は翌年の5月3日)。この新憲法によって、帝室の財産である正倉院「御物」も、帝室を離れて国有財産になることが決まった。帝室博物館も国立博物館になる。激動の昭和21年秋であった。
 
と こんな記載がありました。
1300年近く守られ続けていることを 漠然と「すごいなぁ~」と思っていたのですが つい数十年前にも こんなに大きな歴史的変動があり 歴史とは「出来事」の連続なのだなあ… 
その「時」に携わる色々な方々の思いの深さ…の重なりが「今」なのだなあと 実感しました。
さて いよいよオータムレイトの時刻となりましたぁ~!
いそいそと 展示室への階段を上がり キョロキョロ
夕刻タイムなので 人はそんなに多く感じませんでした。

  【図録の中扉の写真】
素敵なものが い~~~っぱいなので もうコメントは しきれませので
ほんの少しだけ 感想をご紹介を~
◆刻彫尺八
  竹の表皮を彫り残して文様を施した素晴らしいものです。が もっと驚いたことは 1947年と1952年にこの尺八の音色が録音されていたものを 流して下さっていたのです。天平時代から今に残る竹管の「音色」を耳にすることにより 聴覚からも「正倉院の御物」が心の中にしみこんでいきました。
◆白瑠璃碗
 ガラス製の切子碗です。来るまでに写真やテレビで また以前教科書でも拝見した「実物」がそこに!
 イメージが・・・!違いすぎました。カットグラスなので もっと冷たい輝きのあるものを想像していたのですが
 そこにあったのは 「ほっこりとした暖かい 手のひらにくるんでしまいたいような かわいい碗」なのです!
 もう~ 大好きになっちゃいました。暖かさを こんなに感じるとは… その意外さに 驚きが先にきました。
 ◆虹龍(テンのミイラ)
 ありましたありました! こっちこっち!^^
 四方からみれるショーケースの中に こちらも手のひらに乗るようなサイズの可愛い「龍」!
 長23.0cm とのことで 大きさを想像してください。
 じ~っと眺めてますと 「正倉院の中に紛れ込んで 暗闇の中で ちょろちょろしてたのかしら?」とか「陛下への貢物でペットとして可愛がっておられたものかしら?」とか想像がふくらむふくらむ^^
 
こんな感じで 幡やすごろく台・鏡・・・・・もう 見所いっぱい!
何度も尺八の音色を聞きに戻ったり 龍のお顔をもう一度!なんて ウロウロしちゃいました。
~外の景色
  【博物館 旧館(本館)】
時代を感じさせる 素晴らしい建物です。常設展示物は現在こちら。
展示物を観るのもいいんですけど こちらの建物の内部 窓や天井 扉…全てが必見だと思います。
ちなみに第一回の正倉院展は この本館で開催されたんですよ~(当たり前ですかw
 
  【新館近くから奥山を臨む】
ふと東を眺めますと 今日は御蓋山が春日奥山の手前に存在がわかります。
この山はその上に春日大社さんの本宮が祀られています。
遠く離れたところからみると 春日山に同化されて その存在を現わしたり隠したりするお山です。
神様がおられるんだなぁ~と 思えちゃいます。
 
        
十月いっぱいは ライトアッププロムナード期間だったので
久しぶりに 帰り際 興福寺五重の塔の美しいライトアップを眺めました。
ん~ 贅沢な夕刻タイムを ありがとう~!