2009年7月21日火曜日

宝物! 東大寺 お水取り「花拵えの椿」

東大寺知足院の守屋長老さまのお宅に遊びに行かせて頂いたのは 6月22日のことでした。

あれから もう一ヵ月になりますが あまりにも夢のような一時に ブログに記すことも出来ずにいました。

しかし この24日の知足院のご本尊の法要が近づき 「朝8時から来てもいいよ」との言葉を頂いてることを思い出し… 
一ヵ月前に 長老さまから頂いた「宝物」をご紹介することにしました。
 

   それは お水取りのときに 堂内に飾られる 「椿」の造花です!


次の写真は 今年のお水取りの日中の法要が終わったあと
練行衆が 堂内を掃除しているところです…

白い戸張があげられて須弥壇の内陣の様子が見えますでしょう?

    

白い壇供(だんく:丸いお餅)が 十一面観音さまの四方にお供えされて そのまわりに南天と 造花の「椿」が飾られています。

     美しいでしょう~!
    
内陣の闇の中に 蝋燭の灯りが灯り
その中に 浮かび上がる 椿と南天の「赤」は
それはそれは美しいものだそうです…
ある意味 お水取りを代表する「色」の一つだと思います。


   

 
以前 博物館のイベントに参加し 初めて守屋長老さまにお会いした時に見せて頂いた あの「椿」をもう一度 見せて頂きたいと お願いしましたら 笑いながら 隣の部屋から 持ってきてくださいました。
 
 
現在 この椿の花びらの和紙は 京都の染色家「染司よしおか」さんの五代目当主の吉岡幸雄さんが毎年2月23日の「花拵(はなこしら)え」の前日までに奉納されています。
 

赤色は紅花で4~5回も染め…椿の赤色を表現し 
「におい」と呼ばれる花芯用の和紙は支子(くちなし)の実で黄色く染めておられるそうです


   
 
貴重な染めで用意された和紙は 花芯になるタラノキのまわりに順番に貼られて「椿」の花となります。

↓ タラノキ見えますでしょ?
 

 
2月23日に作られたこの椿は 2月27日に春日山原生林から切り出された藪椿の生木の枝に刺されて まるで咲いているかのように飾られます。
 
長老さまは 今までに31回の最多参篭記録を持たれる方で
お水取りのお話は あたしのような素人にも そのレベルに合わせてお話くださいます。
 
昔 第二次世界大戦から 戦後にかけては やはり大変な時期だったそうで…
たとえば この「椿」ですが 赤い紙が手に入らず 仕方ないので 赤いインクで染めて使用された時期があるそうです。

「それでね… 花拵えの日に 糊で こうして花びらを貼り付けていくと…」
と この椿を手にされながら お話が続きます
「気がつくと この指先が全部 赤いインクで 真っ赤に染まってたんですよ^^」
「へぇぇぇぇ~~~ あっインクだから! 糊で^^;」
「そぉそぉ… 真っ赤ですよ そういう時代もありましてね…
 そしたら 京都の吉岡さんが やってみましょうと言ってくれて
 今では 立派な和紙を届けて下さるようになったんですよ」
「あっ 紅花で染めておられる…?」
「うんうん 紅花のこの赤色は 素晴らしいねぇ」
そういって 椿の花を 一緒に眺めました。
 
 
椿の花にも 飾られた場所によって
こうして とても綺麗な赤色で残ってるものと
こちらのように こんなに煤で 汚れてしまうものも
あるんですよ…
 
確かに 綺麗なものとそうでないものがここに…
真ん中のものは かなり煤をかぶっています…

  
 
写真を撮らせて頂いて お礼を申し上げますと…
長老さまが 仰った…
 
「この椿は 二月堂の観音様にあがったものだから
 あなたに 差し上げましょう…」
 
  そう微笑まれて…
 
小さな可愛い箱に 三つとも そっと入れて
あたしに 下さったのです…
 
  大事な 大事な 宝物が 
  きらりと光って
  あたしの手のひらに そっと置かれました…
 
 
もっと いろいろなお話も聞いたんだけど…
何から 書けばいいのかわからないまま
今日 少し ここに したためてみました…