2009年7月24日金曜日

地蔵会の朝  知足院 文使い地蔵さま♪

東大寺塔頭の一つ 知足院…守屋長老さまがおられるところです
東大寺の中でも 北の端に位置してますが 近くには正倉院があり また知足院境内には 天然記念物の奈良八重桜の原木があることで有名です。
この知足院は 華厳宗の大本山である東大寺の中でも 唯一法相宗を学ぶ場所として建てられた由緒正しい塔頭だそうです。(法相宗は 興福寺・薬師寺・飛鳥寺など)

ご本尊の地蔵菩薩像には 地蔵会の朝にだけお会いできるということなんです。。。 それが 7月24日! 今日なんですよ~

このお地蔵様には 別名「文使い地蔵」というお名前があります。その謂れとは…

◆文使い地蔵さま…

 鎌倉時代のことじゃった…
 治承4年 平重衡(たいらのしげひら)に焼かれた大仏殿の再建の造立長官をしていた藤原行隆は退任を果たしたものの 無理がたたって亡くなってしもぉた。
 行隆には幼い娘がおって その嘆き悲しむ様は一通りではなく 縁者たちの泪を誘っておった。
 ある日のことじゃった。幼い娘は 父親が朝夕に礼拝したこのお地蔵様の手に手紙を持たせることを思いつきたそうな。
 そこで父親への手紙を書きお地蔵様にお願いしたのじゃ。
 「大聖地蔵菩薩さまは六道能化の主にましますなれば、どうぞ父のもとへこの文を送り届け、代わりの文を戴きたまへ」と。
 すると、どうじゃ…… 願いと祈りは七日目に叶えられたのじゃよ。
 幼い娘はこの朝に地蔵菩薩の持つ文が自分のものとは違うことに気づき、開いて見ればそれはまぎれもなく父親からの便りであったのじゃ。
 「幼い娘よ。なにも悲しむことは無い。生者必滅はいたしかたなく、今は汝と私が世を隔てるも、いつかは共に浄土に住まう。私は前世に東大寺の奉行を、造寺興仏に勤め人々の幸福を願い誠意をもって行った。今は功徳を受け都率の内に住まい弥勒慈尊の説法を聞き、心身安楽であり自由自在である。天人も五衰するなれば天上界より優れて在る。そうであるから、なにも悲しむことは無い。幼い娘よ。常に東大寺に参詣し大仏様に礼拝せよ。そうすれば必ず仏の浄土で再び共に暮らせるであろう。積もる話もその時にできるであろう。心を明るく持つが良い。」
 このように父親の字で記してあるではないか。
 幼い娘は涙し悦び、この地蔵菩薩と大仏様への信仰を新たにしたということじゃ。

  ……

この朝 8時から東大寺のお坊様による 古式ゆかしい法要が一時間ほど行われるのです。
午前7時30分過ぎに正倉院の横を通りぬけ 知足院へと急ぎますと…
朝日の中を 三々五々お坊様が来られるところに 出会います…

  

早朝の公園は 清清しく とても気持ちのいいものです。
山門への長い階段も とても絵になるところでしょう?

   

ちょうど 東を向いて 山門から本堂を見上げます…

    朝日が まぶしい…
    透き通った空気 わかりますでしょ?



苔の生えた石段は 風情のある表情で
雨の日や 落ち葉の季節にも 訪れてみたいと思ってしまう
 

  

山門から振り返ると こんな景色…
若草山のふもと… 
奈良市内からは 小高いところになります。

   

いつもは 閉まっている本堂が 開け放たれてます。
そろそろ 法要に参列する方々が 集まってきて…
今日は いつもと 全く違う雰囲気に…




人が集まりだすと 不思議なもので
なんだか 暖かい空気が漂い出します。
法要が始まるまで 境内の様子を ご紹介~♪


   

 
 本堂の瓦…  獅子の後ろから撮影^^;
 「知足院」の文字が入っています
  


いいお天気に恵まれて
気温が ぐんぐん上昇…
法要が始まるまで 本堂の縁で のんびり談笑

    

こちらは 鐘楼と 普段開かない扉…
この扉の向こうは 長老さまのご自宅の庭に続く…
 
  

堂は すべて 開け放たれ
そうなると 美しい窓の表情が 際立ちます。
 
外から見た窓の様子…
  

 
本堂内から見た窓… 美しいでしょう?
     
 
 
大きな蟻^^; 珍しくて思わず…
  
 
本堂の中の 蚊取り線香~!
妙に 絵になりますよね^^

  
 
8時に 鐘楼の鐘がなり…
いよいよ 法要が始まります
 
東大寺のお坊様 総勢21名…
しずしずと 入堂されます
厳かに始まった声明…
 
こんなに近くで聞いたことがなかった…
おなかから出される声の抑揚に 聞き入ってしまいました。
 
外では 蝉時雨と 時折聞こえる鶯の声…
堂内の 厳かな声明…
早朝から行われる 年に一度の法要…
 
来てよかった~と 心から思うひと時でした。。。
 
この写真の「般若理趣経」のとき 20名のお坊様が 何周もお厨子のまわりをぐるぐると時計回りに回られます。
 
 
一時間ほどの 法要も無事終えますと
皆さん 自由にお地蔵様のお傍にいけます。
 
 
 
堂内…
 
  
    
 
薄暗いのですが 皆さんのため息が すごい
なぜって…
 
     眉目秀麗……
 
こんなに美しいお地蔵様が 東大寺にはあるんだぁ~と
びっくりいたします。
足元から お顔にいたるまで それはそれは 美しい…
 
長老さまのお話では 8月15日にも あけてくださるらしいので
この夏 もう一度 お会いしたいなぁと思いました。