公の特別開扉は 年一回なのですが もう一日「特別」の日があると 長老さまからお聞きしていました。
それが8月15日の朝6時頃から11時頃までだとか…
午前10時頃 お伺いいたします~とご連絡を入れて いそいそ出かけたのです^^
午前9時30分頃の大仏殿裏…
鹿の届く範囲の葉は見事に食べられて 向こうまで見通せます^^
この高さを デァーライン(鹿摂食高)っていうんです。
朝陽に 牡鹿が 一頭…
素晴らしい景色を横目に
知足院へと 急ぎます…
蝉時雨が 周りの木々から 大合唱の中を 知足院に着きました。
この写真は24日のものですが…
提灯はなかったのですが お堂が開け放たれておりました!
やった!! 開いてる!!
だけど… 参拝者は 誰も・・・・・・・
本堂を覗きますと 長老さまが おられました。
どうも 待っていてくださったようで… まことに ありがたいことです。
まずは 文使い地蔵さまに ご挨拶を…
長老さまが 「お茶を飲みましょう~」と声かけてくださりまして…
「は~ぁい」と 振り返りますと…
本堂の縁に茣蓙を敷いてくださり おざぶとん…
「足を楽に座りなさい」と いつものように微笑まれます^^
冷たいお茶に金平糖の おもてなし♪
蝉時雨が 目の前の枝垂桜から 降り注いできます。
茶托に周りの木々が、お茶には夏の空が映っております。
お茶をいただきながら 話に花が咲きました。
ちょうど終戦記念日の今日…
その日 長老さまは 京都から知足院にたまたま戻ってきておられて
その頃 寺に下宿されてた新聞社の方が
「大事なラジオ放送があるから一緒に聴きましょう」と仰ったそうです。
そして…
本堂のこの縁にすわり ラジオからの天皇陛下のお言葉を聴かれたそうです。
…私たちは戦地に行きますと お国にために死するものと思っておりましたから まさかのお言葉でした。いったい何が起こったのか これからどうなってしまうのか 言葉に出来ない思いでこの縁に じっと座っておりました…
今日という日だからこそ
お話してくださった
熱く冷たい思い出…
あの日も こんな蝉時雨だったのでしょうか…
思わず見上げた空が 青く…
ところで…
今日 こちらが開いてることは公にはされておりませんが…
何故 開いているかと申しますと…
お盆で 東大寺の塔頭のお坊様が 年に一度 お互いの塔頭に参拝されるそうなのです。
しかし 一般が各塔頭を参拝させては頂けないとのこと。
長老さま曰く
…15日は朝6時に本堂を開けたあと 二時間半ほどかけて 東大寺内を参拝にまわります…
これが そういうことだったのですね^^
長老さまが 本堂を閉められるまでは 「開いている」というわけなのです。
で… 写真撮影&ブログにのせても もちろんいいよとのお許しを頂きましたので 本堂を閉められる直前に 大慌てで 写真を撮らせていただきました。
これは…
とても貴重な写真かも…しれません^^!
しかし… あわててたので ななめっていたり… お許しくださいませ。
壁は「人見格子」のような感じで 上半分は外側に上がり 下半分は取り外せます。
本日は上半分があげられ 写真のような感じ。
堂内 右脇壇には 不動明王立像と毘沙門天立像が祀られてます。
そんなに大きいものではありませんが 御前まで行きますと 薄闇の中に存在が威圧感をもって迫ってきます。 思わず正座…。
そして こちらが 中央の壇に祀られた御厨子の中のご本尊さま…
本日は きちんとお供えをお届けいたしました^^;
そして 御厨子の上の「竹林の虎」
葵の御紋は…東大寺の復興と徳川家との御縁に因んだものらしいです。
御厨子の周りには 四天王さまが きちんと守護されてます。
彩色も見事に残り いつの時代のものでしょうか…
御厨子の扉にも 内部にも絵が施されています。
こちらは左側の扉… 毘沙門天さまでしょうか。
御厨子内部 (左側)
御厨子内部(右側)
そして こちらが ご本尊の文使い地蔵さま
もとは惣持院に安置されていたといわれるお地蔵さまで 胎内からは1299枚もの摺仏が発見されたそうです。
像の高さは91cmだそうですが… とても ゆったりしたものを感じますよね。
鎌倉時代のもので 重要文化財です。
お地蔵様の すぐ足元で 見上げれば
その慈悲深いお顔の美しさに 言葉なく
暖かい空気に包まれるような 不思議な感覚…
美しいでしょう?
前回 お会いしたときは 気がつかなかったのですが
胸から足元にかけて それは美しい截金(きりがね)細工が施されています。
截金(きりがね)細工は1200年以上前に唐の国から仏教とともに伝わったそうで、藤原~鎌倉時代の仏像に用いられたそうです。
以前テレビで その手法を見たことがあるのですが 純金箔を数枚焼き合わせたものを 竹刀を使ってそれは 細い細い線状に断ち切り、筆を使って様々な模様を描き出されます。非常に繊細な装飾技法だそうです。
このお地蔵様も それは見事な截金(きりがね)細工でしょう?
長老さまが 本堂の人見格子を閉められるまでのひととき
こうして 写真を撮らせていただきました。
ほんとに 感謝の気持ちで い~~っぱい!
なので… お片づけのお手伝いをさせていただきました^^;
また 来年7月の法要まで…
御扉が そっと閉められて…